トータルペインと音楽療法

前回のブログで、トータルペインについてお話ししました。(こちらからどうぞ)

では、音楽療法ではどのように痛みとワークしていくのでしょうか。

痛みに関する音楽療法のやり方にはいくつかのレベルがあります。1つ目は音楽の刺激によって痛みを紛らわさせる方法。例えば病院のベッドサイドで、その患者さんの好きな音楽を演奏するなどになります。一緒に歌ったり楽器を演奏したりもします。このレベルではMP3やCDなどで十分に対応できることもあります。これを処方音楽(Music Medicine)と呼びます。

2つ目は、痛みの表現をして、痛みを減らすやり方です。即興をしたり、痛みに関する作詞をしたり曲を書いたり、また患者さんもしくは音楽療法士が選ぶ曲の歌詞について話し合ったり、そこから意味を見出したりしていきます。痛みを表現することで、その痛みとの向き合い方を見つけていきます。ここからは音楽療法士の存在が必要になります。

3つ目は、痛みの根本治療になります。これはトータルペインの考えに基づいて行われます。痛みの元にある過去の痛み、トラウマ、人間関係、心の働きなどを見つめていき、これまでの人生、今現在、そしてこれからの人生を総合的に捉えて、トータルペインを取り除いていきます。ボニー式GIMやエントレインメントなどがこれにあたり、音楽療法に加えて心理療法の知識が必要になります。

痛みとどう向き合うか、どのレベルの音楽療法が必要なのかは個人によって違うと思います。どれが正しいというわけではもちろんありません。例えばがんなどの治療中の場合、生きるということが先決になります。このため、痛みを紛らわせることが優先です。しかし、リューマチなどの痛みと長いこと向き合ってこられた方の場合、総合的に痛みを見ていく方が効果的だと思われます。

トータルペインは、著しく人生の質(QoL)を下げる可能性があります。音楽療法は、痛みと向き合う方法の1つです。詳しく知りたい方はご連絡ください。

 

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